アマモ場が支える海洋生態系とその保全の重要性
- 宏矢 松田
- 7月12日
- 読了時間: 2分
はじめに
沿岸域の浅瀬には、アマモ(Zostera marina)をはじめとする海草が群生する場所が存在する。これらのアマモ場は、一見すると単なる水中の植物群落に見えるかもしれないが、実際には海洋生態系において極めて重要な役割を果たしている。
アマモ場の生態学的機能
アマモ場は、多様な生物の生息・繁殖の場を提供している。稚魚や甲殻類、貝類などにとっては外敵から身を守るための隠れ家となり、また餌場としても機能することで、種の存続と資源の維持に寄与している。
さらに、アマモは光合成を行うことにより二酸化炭素を吸収し、海底に炭素を固定する「ブルーカーボン生態系」の一翼を担っている。これにより地球規模での二酸化炭素削減に貢献しており、気候変動緩和の観点からも注目されている。
また、アマモの根茎は底質を安定化させ、海水中の懸濁物質を沈降させることで、沿岸域の水質浄化に寄与し、透明度を維持する役割を果たしている。
直面する課題
しかしながら、世界的にアマモ場は急速に減少している。沿岸開発や浸食、生活排水や農業由来の富栄養化による水質悪化、さらには気候変動に伴う水温上昇などが、その主な原因として挙げられる。
アマモ場の減少は、その機能に依存していた多様な生物群集の衰退を招くのみならず、炭素固定量の低下や沿岸環境の悪化を引き起こし、ひいては漁業資源の減少にも直結する。
当社の取り組み
株式会社みずべでは、潜水調査およびROV(遠隔操作型無人探査機)による映像調査を通じ、アマモ場の分布状況や生物多様性、水質・底質データの収集を行っている。これらのデータは、地域漁業者や自治体、研究機関と連携しながら資源管理や環境保全施策に活用されている。
おわりに
アマモ場は、海洋生態系の基盤を支える存在であるとともに、地球規模の気候変動緩和にも寄与する重要な自然資本である。今後もその保全・再生に向けた科学的調査を継続し、次世代へ健全な沿岸環境を引き継いでいく必要がある。


コメント